中 丸 謙 一 朗
編集者。1963年生、横浜出身。肥満児小学生、中肉中背中学生、痩せ型高校生を経て、立教大学経済学部入学。卒業後、(株)マガジンハウス入社。「ポパイ」編集部、「ガリバー」編集部に勤務。夜な夜ないちご牛乳を飲みながら、リリー・フランキー氏とファミコン「燃えろ!プロ野球」の「対戦」を重ね、約25パーセントの体重増量を果たした。1993年よりフリー。多数の海外特集や雑誌の創刊などに立ちあう。
コードネームはウィリー・フランキー。 現在、「デブファットクラブ」代表世話人。
- (著者にきく)
<つねに“痩せていたい”と思う態度のほうが大事 いっそ趣味にしてしまおう>
- ジャージ姿のオヤジと革パンの似合うロッカー。あなたはそのどちらを選ぶか?
『ロックンロール・ダイエット』は“魂”で痩せることを決意した男の楽し苦しい(?)ダイエット物語だ。
- ダイエットの本は星の数ほどありますが、本書のテーマは“いかにダイエットを趣味とするか”のようですね。
- 「いわゆるダイエット実践本としては、ほとんど役に立たないでしょ。でも、ダイエットをしようと思って読むと、やる気になるはずです。そもそも僕がダイエットしようと思ったのは、かつて“ロック”していたはずの自分が、革パンの代わりにジャージを愛用する中年男になっていたことに気づいたから。半年間で15キロ痩せて、2年後の現在は元の体重に戻りつつありますが、人間“もう年なんだからいいや”みたいに開き直ってしまうと、ちょっとカッコ悪いじゃないですか。
つまり、実際に痩せているかどうかより、つねに“痩せていたい”と思う態度のほうが 大事なんじゃないかと言いいたいんですね。ダイエットの決定的な方法なんて、あるようで実はない。それだったらいっそ趣味にしてしまおうと。そのためには面白がることがいちばんだと考えたわけです。しかも仲間を引っ張り込んだほうが断然いい」
- 浮世の付き合いは、ダイエットの妨げになりませんか?
- 「基本的には現状に抗うようなことはしないんですよ。誰だって結局は周囲との関係の 中で生きているわけだから、どこかで折り合いは付けなきゃいけないし。それに‘80年代のエグゼクティブなら“ダイエット中”のポーズもクールだったけど、今そんなこと言うと、逆にアタマ悪そうに見えるでしょ。
だいたい、いくら豚カツ食うな、カレーは駄目と言われても、食っちゃうじゃないですか、男は(笑)。それだったらむしろ、週に一度は豚カツOKとか、“俺、革パン穿きたいんだ”と言いながら半ライスのカレー食ってたほうが、辛くないし、洒落にもなるじゃない。もちろん、糖尿とか心臓病みたいな病気のある人は別ですよ。そうならないためにも、楽しんでダイエットしましょうと。でも、それくらいユルいやり方でも、ちゃんと効果は表れますよ。
要は、“痩せよう”という境地に達するためのモチベーション遊びみたいなものですよね。だから以前は“SFダイエット”なんてのもやったことがあります。この一週間、世の中から豆腐屋以外のすべてが消えたと想定するわけ(笑)。そんなフザけた遊びでも、けっこう痩せるものなんですよ。」
- “断食祭り”も、そういった遊びの一つですか?
- 「あれはダイエットにおける気合の象徴。完全断食を何日もやったら危険だけど、72時間くらいのイベントにしてしまえば、どうにかなるでしょ。実は今、「痩身おとこ三昧教室」なるものを主宰しておりまして、メンバー募集中なんです。で、秋頃には断食祭りで気合を入れようと。祭りと言っても、男どもが寄り集まって断食してるだけなんだけどね(笑)。この本を読んで“ダイエットしてみようかな”と思った方、ぜひご参加ください」
- 〜2002.8月号 BRIO〜