鈴木研一さん(ミュージシャン) ベーシストはいい腹してる バンドの歴史はベーシストの肥満の歴史でもありました。デビュー当時68キロ、ピーク時96キロ、現在86キロ、その間ファンの皆様からたくさんの「痩せてくれ」レターを頂きました。太り始めのキッカケははっきりしていて、ずばりパチンコです。バンド活動もバイトもしないで毎日朝から晩まで打ち続け、その間食事はせず缶コーヒーをガブ飲みし、勝った金でかつ丼大盛りと盛りそばのセット、これを半年間続けた結果元には戻れない体になってしまったのでした。 そもそも太る下地はありました。まず甘いもの好き。酒は一滴も飲めず、生クリームとあんこに目がなく、夢はプリンの風呂に入ること。今は風呂なしアパートに住んでいるので無理ですが、いずれは実現させたいものです。あと、相撲好き。小さい頃ひょろひょろに痩せていたので力士のようなでかい体になりたいと願っていましたが、今頃になって叶ったのだと思われます。よく、ダイエットする人は痩せた自分を強くイメージすると効き目があると耳にしますが、その逆パターンです。ライブ前に気合いを入れるために力士のように突き出た腹を両手でパンパンと叩きますが、さしずめ土俵入りです。 さて僕のダイエットを紹介しましょう。まず「下痢ダイエット」これは自分のように胃腸の弱い人にしか効きませんが、夜寝る前に油っこく消化の悪いものを腹いっぱい食べ、冷たいジュースをゴクゴク飲むだけでOK。夜中もしくは朝方に猛烈な下痢に襲われて1キロ減です。よくやります。次に「金欠ダイエット」給料をギャンブル等に全突っ込みし、その後の生活を必然的に粗食に追い込むという乱暴な方法です。勝ってしまうとスーパーリッチな食事でかえって太ってしまうので注意してください。 太っても悪いことばかりではありません。ステージ衣装の和服が似合うようになったし、デビュー当時はずっしり重かったベースが体の一部のように感じます。大体ベテランベーシストには太った人が多く、イエスのクリス・スクワイア、元キングクリムゾンのジョン・ウェットン、元ELPのグレック・レイクと、いい音出すベーシストはいい腹しています。僕もまねして腹にベースを載せて演奏することにします。 人間椅子のメンバーの皆さんと僕(うえさん)は同じ世代なこともあり、唄われている世界感も大好きで、とても親近感があります。自分が30歳の時、ちょうど人間椅子の「三十歳」という曲を聴いて非常に共感したものです。 |