煩悩を消し去るテクニック  SPECIAL EDITION

 

映画の中で主人公の妻役を演じた三原じゅん子さん。主演の嶋大輔さんとは昔からのお知り合いということもあり、順調に撮影は進んだようだ。ご自身のダイエット体験からロックンロール、こだわり、そして作品について、フランクに語っていただいた。

 

『ロックンロール★ダイエット!』江口弘子役
三原じゅん子さん

 

東京都出身。女優。79年に出演したドラマ「3年B組金八先生」の山田麗子役が人気を博す。主な出演映画に『ああ野麦峠 新緑篇』(82)、『父と子』(83)、『嵯峨野の宿』(87)など。また80年に「セクシー・ナイト」で歌手デビュー、85年には「Easy悪Rock'n Roll」で嶋大輔とデュエットした。近年は、NHK大河ドラマ「功名が辻」(06)に出演。CM「サントリーBOSS 農家篇」(08)でトミー・リー・ジョーンズと共演し話題を呼んだ。

 

 

 

いくつになっても夢は輝き続けることができる

 

 

──三原さんご自身はダイエットの経験はありますか?

 

三原 ええ、ありますよ。
私は、モータースポーツをやっていたので(国際B級ライセンスを持ち、1987年〜99年にかけて四輪レーサーとして数々のレースに参戦。現在は二輪レースチーム「weave×MIHARA PROJECT」のオーナー兼監督を務める)。
レーサーって、太った人はいないんですよ。
やはり体重は軽い方がいいに決まっていて、だけど筋力や持久力も必要になるので、それを保ちながら痩せるにはどうすればいいのか、栄養学などいろいろな勉強をして、けっこう本格的なダイエットをやってました。

 

 

──正統なダイエット学から考えると『ロックンロール★ダイエット!』はちょっと邪道なダイエット法かもしれませんが(笑)、このタイトルをどう思われましたか?

 

三原 最初から「嶋大輔さん主演の『ロックンロール★ダイエット!』」ということでお話をいただいたので、笑ってしまいました。
最近ちょっとポッチャリしてるなと思っていたので、ああ映画のためだったんだ、と思って(笑)。
でも後で聞いたら、映画のために太ったわけじゃなかったみたいですね。

 

 

──嶋さんの姿はデビューの頃から見てらっしゃるわけですもんね。

 

三原 大ちゃんとは幼なじみみたいな感覚で、最近もちょくちょくバラエティ番組などで共演していますので、やりやすかったですね。

 

 

──嶋さんとデュエット曲も出されたことがあるし。

 

三原 横浜銀蝿さんと私はレコード会社が同じで、デビューの日も同じなんです。大ちゃんはその弟分。
そんな関係で、“銀蝿ファミリー”みたいな感じで、一緒に曲を作ってもらったりしていましたので。

 

 

──嶋さんは会見で「三原さんには頭が上がらない」っておっしゃってましたけど。

 

三原 同い年なんですけど、なぜか昔から「先輩、先輩」って言うんですよ(三原さんの方が芸能界デビューが早い)。
やっぱり、そういうところはきちんとしてる人なんですよね。
現場でもスタッフ全員に気配りができる人だし、大きな人ですね。
今回の映画では大輔が食べなきゃいけないシーンがいっぱいあるのが本当に大変そうで、かわいそうでしたけど。

 

 

──娘さん役の二人(波瑠さん、紗綾さん)のように若い人たちと共演すると、三原さんや嶋さんの世代との違いを感じることはありますか?

 

三原 ええ、現場で見ていて、私たちの若い頃とはまったく別の生き物みたいに感じました。
ギラギラ、ガツガツしてなくて、なんだか大人しいの。
私たちが『金八先生』とかに出ていた頃はもっと子供っぽかったと思うし、今の子の方が大人なのかなあ。
大輔や私たち世代の子供さんはこういう感じなんだろうなあと思いました。

 

 

ロックンロール★ダイエット!

 

──「ロックンロール」という言葉も若い世代には通じなくなってきてるのかもしれませんね。ロックンロールのカッコよさとは何でしょう?

 

三原 こだわりですよね。ひとつの。

 

 

──三原さんにとって、こだわりとは?

 

三原 うーん……難しいですね。女優という仕事になるんでしょうね。
仕事以外はけっこういい加減な人なんですよ。
仕事だけは真面目なんですけど。

 

 

──一般的に「ダイエットして健康や美容に気を使ってる」というのは、男同士の間ではあまりカッコいい話題じゃないんですが、女性の目には「ダイエットしてる男性」というのはどう映りますか?

 

三原 ダイエットがどうというより、自分自身に気を使っている人という印象があります。
おしゃれにしても健康にしても、きちんと気を配っている男性は素敵だと私は思いますね。
つまり自己管理のできる人。
「禁煙したんだ」とかね、男性からそういう話を聞くと、いいなって思いますよ。

 

 

──そこを男性目線で見ても「ダイエットすることはカッコイイんだぜ」という方向へ持っていこうというのが『ロックンロール★ダイエット!』なんだと思いますが。

 

三原 そうですね、この映画ってダイエットがテーマというより、「輝きを取り戻そうよ」ということじゃないかと思うんですよ。
それを表現するには、「太ってる人が痩せる」というプロセスを見せるのが、目に見えてわかりやすいということもあるんでしょうけど。
たぶんこの映画がいちばん言いたいことっていうのは……、男女を問わず40代ぐらいの方たちの中には、10代の頃に持ってた夢をいつかどこかに置き忘れてきてしまって、だんだん目の輝きを失っている人も多いと思うんですよ。
そのことを気づかせてくれる作品というか。
若い頃に見ていた夢は、形を変えても輝き続けることはできるんだよっていう、そういうメッセージが伝わる映画じゃないかと思います。
世の40代の普通のサラリーマン、普通の主婦の方たちにぜひ見てもらいたいですね。

 

(interview:HIKARU KUROZUMI  photo:ETSUO KAWAMURA)